テニスのグリップの握り方とその特徴(フォアハンド編)

【はじめに】
皆さんはテニスをする時にどんなグリップの握り方をしていますか?
グリップの握り方が少しでも違えば、面の向きや力の入り方、どういう高さの打点が打ちやすいか等が変わってきます。つまり、プレースタイルが変わってくるということが言えると思います。
今回はフォアハンドの時のグリップの握り方とその特徴を紹介していきたいと思います。
この記事を読んで、皆さんが採用しているグリップにはどういうメリットやデメリットがあるかを確認していただき、今のプレースタイルに合っているのか、そうでないのか、これから目指すプレースタイルにはどのようなグリップが適しているのかを探っていく1つのヒントになれば幸いです。
【ベースナックルとは】
人差し指の付け根の所を「ベースナックル」と呼びます。ベースナックルをグリップのどの位置に置いて握るかによってグリップの名前と性質が変わります。なお、「この握り方はこう呼ぶ」という国際的な基準は存在しませんので、ここでは日本プロテニス協会及びアメリカプロテニス協会が採用している呼び方を採用することにします。
【コンチネンタルグリップ】
《握り方》
《データ》
コンチネンタルグリップ

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

1

高い打点の打ちやすさ

1

5 5
低い打点の打ちやすさ 2 6

6

※データの数字は数が大きいほど優れていることとします。
《コメント》
基本的にサーブを打つ時以外は使わないグリップです。まれにサーブとスライスとボレーをこのグリップで行うトッププロがいますが、相当な筋力が求められるので一般的にはお勧めしないです。
【イースタングリップ】
《握り方》

《データ》
イースタングリップ

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

2

高い打点の打ちやすさ

2

5 5
低い打点の打ちやすさ 4 6

6

《コメント》
フォアハンドストロークでスピンを打つのには向いていませんが、スライスやボレーが打ちやすいです。ほとんどのトッププロもスライスやボレー、サーブを打つ時にこのグリップを使います。一般男性でも力が余程弱い人でなければこのグリップを採用すると良いでしょう。
試合志向のジュニア男の子でしたら小学校5年生ぐらいからこのグリップでスライスやボレー、サーブを打つよう指導していきます。女性の場合はそこそこ力が強くないと厳しいかもしれません。
【イースタングリップ(厚め)】
《握り方》

《データ》

イースタングリップ

(厚め)

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

3

高い打点の打ちやすさ

3

6 6
低い打点の打ちやすさ 5 5

5

《コメント》
フォアハンドストロークのスピンの力強さは犠牲になりますが、スライスやボレーが打ちやすいです。もしスピンとスライス・ボレーを一つのグリップで行うならこのグリップを選ぶと良いでしょう。スピンを力強く打ちたいならグリップチェンジ必須です。男子トッププロのリシャール・ガスケは若い頃このグリップでフォアハンドスピンを打っていましたが、キャリア晩年はもう少し厚いグリップに変えていました。
試合志向のジュニア女の子には小学校5年生ぐらいからこのグリップでスライスやボレー、サーブを打つよう指導します。試合志向の女性もこのグリップを採用すると良いのではないでしょうか。
【セミウェスタングリップ】
《握り方》

《データ》

セミウェスタングリップ

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

4

高い打点の打ちやすさ

4

4 4
低い打点の打ちやすさ 6 3

3

《コメント》
フォアハンドストロークのスピンで特に低い打点が非常に打ちやすいです。高い打点はやや打ちにくいのが欠点ですが、力が強ければ打てないことはないです。男子トッププロではロジャー・フェデラーやアレックス・デ・ミノーがこのグリップを採用していますが、試合志向のジュニアはあえてこのグリップを選ぶ必要はないでしょう。
スライスやボレーはやや打ちにくいですが打てないことはないです。私の考えですけれども、一般女性がフォアハンドストロークのスピンをこのグリップで打っている場合は、無理にスライスやボレーでグリップチェンジを勧めはしないです。
【セミウェスタングリップ(厚め)】
《握り方》

《データ》

セミウェスタングリップ

(厚め)

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

5

高い打点の打ちやすさ

5

2 2
低い打点の打ちやすさ 5 2

2

《コメント》
フォアハンドストロークでスピンを打つ際、強打しやすく、高い打点も低い打点も打ちやすいバランスの取れたグリップです。アレクサンダー・ズべレフ、ステファノス・チチパス、アンディ・マレー、ラファエル・ナダル等、そこそこ多くのトッププロが採用しています。
このグリップでフォアハンドストロークのスピンを打つなら、スライスやボレー、サーブではグリップチェンジ必須です。但し、ジュニアの場合はまだ力が弱いので、小学校高学年~中学生にかけてグリップチェンジしていくと良いでしょう。
【ウェスタングリップ】
《握り方》

《データ》

ウェスタングリップ

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

5

高い打点の打ちやすさ

6

1 1
低い打点の打ちやすさ 4 1

1

《コメント》
フォアハンドストロークでスピンを打つ際、強打しやすく、特に高い打点が打ちやすいグリップです。最も多くのトッププロがフォアハンドストロークのスピンを打つ際に採用しているグリップでもあります。日本における試合志向のジュニアも多くがこのグリップを採用しています。
このグリップでスライスやボレーはできませんのでグリップチェンジをする必要があります。
【フルウェスタングリップ】
《握り方》

《データ》

フルウェスタングリップ

フォアハンドストローク

(スピン)

フォアハンドストローク

(スライス)

フォアハンドボレー
力の入りやすさ

5

高い打点の打ちやすさ

7

1 1
低い打点の打ちやすさ 3 1

1

《コメント》
フォアハンドストロークでスピンを打つ際、強打しやすく、より高い打点が打ちやすいグリップです。その反面、低い打点は打ちにくくなります。キャスパー・ルードや錦織圭等そこそこ多くのトッププロがこのグリップを採用しています。ジュニアにあえて勧めることはしませんが、高いボールに対応するために自然とグリップがここまでくる子もいます。
スライスやボレーはこのグリップでは打てませんのでグリップチェンジ必須となります。
【終わりに】
ここまで色々な種類のグリップとその特徴を紹介していきましたがいかがでしょうか。それぞれのグリップの特徴を押さえておくことは、皆さんのプレースタイルを把握し、これからどう変化させていくかを考えるうえでとても大切になってくると思います。
フォアハンドストロークのスピンでセミウェスタングリップ(厚め)かウェスタングリップを選び、スライスやボレー、サーブでイースタングリップにチェンジするというのがある程度のスタンダードになってくるとは思いますが、年齢・性別・体格・筋力・練習頻度・試合志向かそうでないか・ボレーを片手でするか両手でするか、等考慮すべき要素はたくさんあります。一概に「これが正しいんだ」とは言えないでしょう。
グリップを少し変えるだけで感覚が大きく変わってきます。グリップの調整には時間がかかり、慣れるまではパフォーマンスが落ちるので少なくないストレスがかかります。もしご自身でグリップを調整する際は無理のないようにしていただきたいし、ましてや他人にグリップ調整を勧めるのは極力避けたほうが良いし、もしそうするにしても相当慎重になったほうが良いと考えています。
グリップの話は結構複雑で今回書ききれなかったこともたくさんあるので、バックハンド編やサーブ編など、また書いてみたいと思います。お楽しみに★☆
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