絶対知っておきたい、ガット(ストリング)の素材や構造による違い

テニスのフレームに張られているガット(ストリングとも呼びます、以下ガットと記載)には様々な素材や構造が使われていて、それらを組み合わせることによって色々な特長を出しています。今回は素材や構造からくる違いを簡単に説明していきたいと思います。
【ナチュラルガット】
*写真はBabolatの”VS TEAM”です。
牛の腸が原料のガットです。テンション維持性能反発力反発維持性能・なんともいえない心地よいカラッとした打球感など、パフォーマンスは一級品です。
多くのトッププロの選手達も使っていることからその性能に信頼を置いていることがわかります。彼らは縦糸にナチュラルガットを張り、横糸にポリエステルガットを張るパターン(いわゆるフェデラー張り)を好んでいるようです。
5年ぐらい前まで、多くのトッププロは縦にポリエステル、横にナチュラルのパターンで張っていた選手が大多数だったのですけれども、フェデラー張りの方がスピン量が多くなるということがわかってきて、縦糸にナチュラルを選択する選手は増えてきました。
[ナチュラルガットの欠点]
・耐久性が低いです。
・価格が高いです。
・水に弱いです。(コーティングである程度は改善されていますが)
【ナイロンガット】
ポリアミド合成樹脂が原料のガットです。合成樹脂の欠点であった耐熱性が大幅に改善されて耐久性が向上しました。また、ナチュラルに比べて大幅に製造コストがダウンし、一般の方が手に取りやすい価格になりました。
さらに、コーティングの種類・合成する樹脂・構造などの違いを組み合わせることによりバリエーションに富んだ性能のガットをつくることができます。
“ナチュラルを超える”性能のガットを開発することが大きな目標となっていて、その結果スピン性能や反発力など、ある要素ではナチュラルを超える性能のガットが開発されてきました。
【ナイロンガットの短所】
・総合力ではいまだナチュラル超えを実現できていません。
・ナチュラル程ではないですが水に弱いです。
[ナイロンガット、構造の違い]
構造の違いからモノフィラメントマルチフィラメントと区別することができます。それらについての説明を以下に記します。
[ナイロン・モノフィラメント]
*写真はGOSEN の”MICRO SUPER”です。
モノフィラメントと名づけられてはいますが、実は単一の繊維のみでできているわけではありません。写真のGOSEN “MICRO SUPER”を見ていただければわかるように、芯糸の周りを細い沢山の繊維が囲んでいます。
あくまでも芯糸が単一の繊維でできているということですね。マルチフィラメントと比べるとシャープな弾き反発力の良さが特徴です。
ポリエステルガット程ではないですが、マルチフィラメントと比べると打球感はやや硬いです。ある程度使用すると摩擦でガットに溝(ノッチ)ができて、ガット自体の動きが悪くなってしまい、反発力やスピン性能が落ちます。

[ナイロン・マルチフィラメント]
*写真はBabolatの”Xcel”です。
芯糸が2本以上の繊維でできているナイロンガットです。多数の細かい繊維で1本のガットが構成されています。
ナチュラルガットの繊維構造に似せて作られていて、同じような性能にすることを目指しています。モノフィラメントと比べて柔らかい打球感が持ち味です。
腕に優しいのでテニスエルボーの方にもオススメ。耐久性はモノフィラメントより劣ります。
細い多数の繊維でできているので使用していくと段々毛羽立ってきて、反発力やスピン性能が落ちます。
また多くのモノフィラメントよりも高価な場合が多いです。
【ポリエステルガット】
*写真はBabolatの”RPM Blast”です。
ポリエステルガットはその名の通りポリエステルを素材にしたガットです。
ポリエステルガットが世界に出てきたことでテニスが激変したと言われています。
ナイロンガットと比べ耐久性スピン性能が大幅に向上しています。反発力に関してもナイロンガットに近い水準まで追いついてきています。ハードヒットした時の反発力はナイロンガットよりも上でしょう。
また水を吸いにくく、吸ったとしても性能の変化がほとんどありません。従来のポリエステルガットはテンション維持性能の低さが難点でしたが、現在ではかなり改善されてきています。
【ポリエステルガットの短所】
手首や肘にかかる負担が大きいです。
スイングスピードが速くないとその性能を十分に発揮することができません。
テンション維持性能が低いです。(ある程度改善されてきています)
[ポリエステルガットをお勧めしたい方]
ナイロンガットを使っていると1か月以内(毎日プレーする学生なら1週間以内)で切れてしまうようなハードヒッターはポリエステルガットを試してみると良いでしょう。
[ポリエステルガットにマルチフィラメントはあるのか]
種類は少ないですがあります。

*写真はYONEXの”MULTI-SENSA”です。
【ポリエチレンガット】
もうひとつの“ポリ”ガットがポリエチレンガットです。ポリエチレンは食品用のラップやポリ袋に使われている素材です。
ポリエステルガットよりも柔らかくて腕に優しいです。一部のナイロンガットよりも柔らかく感じます。そして包み込むような独特のホールド感が特徴です。
またテンション維持性能反発力もポリエステルガットより優れています。
この柔らかい独特の打球感とまずまずの耐久性・反発力が流行りかけた時期がありました。今のところ大きなブームになっていないものの根強いファンがいます。
[ポリエチレンガットの欠点]
・ポリエステルガットより耐久性は低いです。
・ポリエステルガットよりスピン性能は低いです。
*写真はpolyfibreの”EVOLUTION”です。

【おわりに】
ガットの素材や構造からくる違いを説明いたしました。それぞれの長所や短所がわかっていただけたかと思います。
どのようなガットを選ぶかはプレーのパフォーマンスに大きな影響を与えますので、このような記事で予備知識をいれつつ、最後はテニスショップのスタッフと相談の上決めていただけると良い選択ができると思います。
ラパンブランには知識豊富なスタッフがおりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
            
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