ご自身がテニススクールに通っている、もしくはご子息がテニススクールに通われている方で、頑張っていて上手くなっているのになぜ上のクラスにいけないのだろう?なぜあの人は上のクラスなのに自分は・・・?とお悩みの方は少なくないと思います。
そこで今回はなぜそのような現象が発生するのか、どうやったらレベルアップ(クラスアップ)しやすくなるかを、僕が実際に経験したり聞いたりした情報をもとに考えていこうと思います。
まずは、レベルアップのシステムについて説明していきます。テニススクールは2ヶ月や3ヶ月を1期(1クール)として構成しているわけですが、期の後半になるとコーチたちは誰かレベルアップの対象になる方はいないかなぁと考え始めます。
とあるスクールでは最後から3週目ぐらいの時に回覧がきて、レベルアップする方にチェックをいれるシステムになっていました。基本的に担当コーチの裁量に任せられているのですが、一応社員コーチがあまりにおかしいレベルアップがないかチェックします。ちなみにそのスクールではとても長い間在籍しているけどレベルが停滞したままの方をレベルアップしても良いという救済策がありました。これは乱発すると危険なので当然ベテランのコーチが機を見て周りのコーチと相談したうえで行います。
またとあるスクールでは、ジュニアは上のクラスに体験に行ってそのコーチに認められないと上がれないという制度になっていました。大体は同じ曜日の同じ時間帯に受け入れ先があるのですが、たまに受け入れ先のコーチが同じ人になる可能性があるという場合があるので、その時は1人以上の社員コーチの了承を得て決めます。一般の方のレベルアップも一人で決めず、必ずその方と頻繁に関わる社員コーチ全員の了承を得てから決めるという制度になっていました。このシステムはレベルアップに説得力を持たせることができます。しかし、あるコーチが自信満々でレベルアップだと思ってても他のコーチに聞くと全然ダメだよという場合もあり、事前に打ち合わせをしておかないと大変なことになります。
他には、チェックもなしにコーチの独断で勝手にレベルアップしている(生徒さんが上がりたいと言えば大体通る)スクールや、プライベートレッスンをたくさん受けないと特別なクラスには絶対レベルアップできないという阿漕なスクールもあります。また、ジュニアに力を入れているスクールで、一番上のクラスに上がるためには、「主要なトーナメントで本戦に上がる」、というわかりやすい基準があるスクールもあります。
このように、テニススクールのレベルアップのシステムを紹介していきましたが、次は、なぜなかなかレベルアップできないのかを考えてみたいと思います。
ちなみに、明らかに上のクラスの技術水準に足りていない場合は除いています。あくまでもボーダーライン近辺にいる方を対象にしていることをご承知おきください。
それではまいります!
①そもそも、コーチが生徒さんのレベルアップにあまり関心がない。
いきなり衝撃的なフレーズを出してしまいましたが、このようなコーチが現実に存在します。
②自らのクラスの人数が減るのを恐れて、レベルアップをためらうコーチがいる。
これもビックリな内容でしょうか。コーチは人気商売ですので、人気コーチのところには口コミなどを通して生徒さんが多く集まります。反対に、不人気なコーチには生徒さんが集まりにくいです。スクール歴が長い生徒さんが多いところならなおさらです。当然、人数があまりにも少なくなってしまうとそのクラスは潰されてしまう可能性があるので、コーチとしてはそれを避けたいがあまり生徒さんのレベルアップを躊躇してしまうのです。
③レベルアップ先のクラスの人数がどこも多い。
生徒さんが継続して何年もスクールでレッスンを受講していくと、どんどんレベルアップしていき、最初は初級や初中級だった人が、中級や中上級へと上がっていきます。上級へと上がった方は、さらなる刺激をもとめて卒業していくこともあるので、そんなに詰まっていない場合もあるのですが、中級や中上級は人数が詰まりがちです。そうなると必然的にレベルアップの基準は高くせざるを得ません。
④ご本人の能力が突出している長所、明らかな弱点に分かれている。
この項目はジュニアの方にはあまり当てはまりません。主に一般クラスの方に当てはまります。
試合においては明らかな弱点があったとしても、突出した長所でどんどん点を稼いで弱点を狙わせずに勝つという場合がありますが、スクールのレッスンにおいてはテーマが決まっていて、満遍なく能力を伸ばしていくシステムになっているところがほとんどです。それゆえ偏った能力の方は例え個の強さがあるとしても上のクラスに行ったときに、円滑なレッスン進行を妨げてしまう可能性があるので、コーチはややレベルアップを告げづらくなります。
代表的な例を挙げると、ストロークはとても上手いが、ボレーが上手くない方。このような方は上のクラスに行くとボレー対ストロークや平行陣の展開でつまづいてしまいます。逆に、ボレーはとても上手くてストロークが下手な方はまだ上がりやすいです。なぜなら、ボレーが上手い方はスライスに適性がある方が多いので、スライスを練習して精度を上げれば、ラリーの場面ですぐスライスアプローチやロブアプローチでネットにつくことができるからです。これは上のクラスのレッスン方針と噛み合います。
⑤ハードヒッターだがミスが多い。
このような方は、調子が良い時はコーチからも点が取れて「自分は強い!」と思いがちですが、その日だけでなくある程度長い期間で考えるとかなり失点しています。そして、ミスが多く、入ったら相手が取れないという淡白な展開になりがちです。また、このタイプの方は無理な打点でもハードヒットしようとするので、危険球が飛びます。楽しいレッスンの大前提となるのが「安全であること」なので、より危険球が多発しそうな上のクラスにレベルアップすることをコーチは躊躇するでしょう。
⑥コーチの言うこと(アドバイス)を聞かない、やろうとしない。
コーチの言うことを聞くか聞かないかは自由だし、アドバイスがご自分に合わないこともあるでしょう。それは良いと思います。ですが、あまりにもひどい場合は、レベルアップにおいてマイナスとなるでしょう。そしてコーチの指示に従わないことによってレッスンの進行が妨げられたり危険が伴う場合はレベルアップどころの話ではありません。
⑦礼儀がなってない。
これは一般クラスの方には当てはまりません。ジュニアの方にのみ当てはまります。テニススクールはテニスを教えているとはいえ、子供と接しているわけですから教育機関の一部であると僕は思うし、ゆえに大人である我々は子供たちに礼儀を教える義務があると思うのです。あいさつができる、ありがとうが言える、ごめんなさいが言える、大きな声が出る、人の話を落ち着いて聞ける・・・など、人として基本的な礼儀正しさをレベルアップのひとつの基準しているスクールもあります。当然子供たちに教える以上、我々大人も日々反省し改善しなければなりませんが・・・・
以上のように述べてきましたが、ある方にとっては耳の痛い内容であったり、腹が立つ内容であったかと思います。気分を害された方にはお詫び申し上げます。
それでは、どうやったらレベルアップに近づけるのかというと、とても単純です。こんなことの為にダラダラと長文を読まされたのかとお思いになるかもしれませんが、前提となる考え方は必要なのです。それではまいります!