【プロフィール】
名前:ミカイル・アレクサンドロヴィッチ・ククシュキン
誕生日:1987年12月26日
国籍:カザフスタン
出身:ロシア、ヴォルゴグラード
身長:183cm
体重:72kg
利き手:右
バックハンド:両手
最高ランキング:39位
【生い立ち】
父のアレクサンダーさん、母のタチアナさん、妹のエカテリーナさんの4人家族。
ミカイルは6歳の時に父と共にテニスを始め、それ以来17歳になるまで、父のコーチングを受けていました。
ミカイルが生まれたヴォルゴグラードはテニスをするには厳しい環境で、ミカイルの一家は経済的に難しい状況だったのです。コートを借りることや、練習相手を見つけるのは困難でした。父のアレクサンダーさんとミカイルは、ある時は水が空のプールで練習したり、刑務所にある木製の中庭で練習したりしました。それは学校が始まる前の朝6時や放課後などに行われました。時には学校へ行く代わりに練習することさえありました。
グランドスラムジュニアやオレンジボウルなどのメジャー大会に出る余裕はなく、ロシア国内や近隣の国へ遠征することもままなりませんでした。ラケットは1本しか持たず、ガットが切れた時は父からスペアのラケットを借りていました。ラケットを選んだこともありませんでした。ガットは父が持ってきたストリングマシーンで張り上げていました。
それでもミカイルはロシア国内の中でトップジュニアの1人でしたが、国からは何の援助もありませんでした。プロのテニスプレーヤーになれる保証なんてありませんでした。それでもミカイルは挑戦したいと思ったのです。
両親たちは食事や新しい衣服を切り詰めていました。妹のエカテリーナでさえも切り詰めた生活を送っていたのだそうです。すべてはミカイルがいつかプロテニスプレーヤーになりたいという願いを叶えるためです。
【ツアー生活の始まり~転機】
17歳になり、ミカイルがITF フューチャーズを転戦するようになった時、もし1回戦で負けてしまえば、ほとんど賞金を得ることができません。よってそれはすなわち、次のトーナメントへ遠征できるお金がなくなることを意味します。かなりタフな状況でのツアー生活です。なんとかして1回戦を勝ち上がり、時には$500 ばかりの賞金を得ることができました。そうやって次のトーナメントへ出向く遠征費を捻出していました。
そのような遠征生活を続けながら、20歳の時にはミカイルはTOP150 まで登りつめました。周囲の人たちは誰もが彼にTOP100 を切る才能があると口にしましたが、ミカイルにはトレーナーがいず、フィジカルも、栄養面でも足りていませんでした。
そんなミカイルに転機が訪れます。とても裕福なビジネスマンで、カザフスタンテニス協会の会長を長年つとめ、将来のITFの役員を務めることになるブラット・ウテムラトフさんが、ミカイルに接触し、「カザフスタンでこのスポーツをもっと発展させたい、恵まれない人でもプロになれるよう底上げをしていきたいんだ。」と彼のビジョンを語ったのです。
国籍を変えることによって、ロシアにいる家族と離れることになるのは辛いし、この先どんなことが待ち受けているのか、ミカイルにはわかりませんでした。でもミカイルは自分を信じていました。
「僕はTOP100 を超える才能がある、ただ、そのやり方がわからないだけだ。」
こうしてミカイルは祖国を離れ、カザフスタン人となり、カザフスタンの全面的なサポートを受けることになりました。ミカイルにはトレーナーがつき、毎日ジムへ行ってトレーニングしました。またコーチからアドバイスを聞くことで学んでいきました。そして22歳の時、ついにTOP100 を突破することに成功したのです!
【グランドスラムの成績】
全豪オープン シングルス ベスト16
全仏オープン シングルス ベスト64、ダブルス ベスト8
ウィンブルドン シングルス ベスト16
全米オープン シングルス ベスト32、ダブルス ベスト16
【テニスに関して】
ミカイルは、安定したミスの少ないストロークをベースに、深い球や角度をつけた球で相手をジワジワと追い込んでチャンスボールを引き出していきます。フォア・バック共にクロスラリーが主体です。回り込みフォアのストレートやバックのストレートを時折使います。
バックハンドのフォームが特徴的で、ラケットヘッドをほとんど落とさず、翼ではたくかのように打ちます。フォアハンドはリストを効かせたスピンボールとフラットなショットを使い分けます。
ネットプレーに関してはあまり積極的な方ではなく、明らかなチャンスボールが来ない限りは前へ出ていきません。ただ、ボレーが下手なわけではなく、そつなくこなせます。サーフェスによってはネットにつく回数が増えることがありますが、基本的にはバックコートでのラリーが彼にとっては心地いいのでしょう。
サーブに関しては、単体でポイントをどんどんとっていけるようなものではないですが、コントロールや打ち分けは上手く、チャンスをつくっていくには十分です。
【人物に関して】
好きなことは映画鑑賞と、ロシアの本を読むことです。
【まとめ】
これほどジュニア時代に恵まれていない状況下にいたプロテニス選手は本当に珍しいと思います。もちろん才能が必要なのは言うまでもないですが、経済的に貧しい状況であったとしても、努力と工夫と不屈の精神があれば何とかなるのですね。彼のことを調べて、彼のエピソードに触れてとても勇気が湧いてきました。今まで、彼のテニスに注目したことはなかったですが、またひとつテニスを観る楽しみが増えました。彼に感謝したいです。
【参考・引用】
ATP公式サイト
ITF公式サイト
ATP ミカイル・ククシュキンの特集記事
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